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2009年 01月 18日
雑誌『デザインの現場』に「書体 Futura は欧米やイスラエルで普通に使われている」という記事を書いたのが2004年10月号です。それまで日本だけで聞かれた「Futura はナチスのイメージがあるので使用に注意」という噂はオカシイよ、と声を上げてからもうすぐ5年ですが、その噂はいいかげん消えつつあるんでしょうか、それともまだ深く残っているんでしょうか。『デザインの現場』2004年10月号が今は手に入りにくくなっていると思うので、その噂についてそのときインタビューした世界各地のタイポグラフィ界の方たちの意見をここでも紹介します。
なお、雑誌の記事にしたときには字数の制限があって短くせざるをえなかった意見もありましたが、ここではそれより長く載せます。インタビュー転載については『デザインの現場』の了解を得ました。この場を借りて感謝いたします。 スティーブン・ヘラー氏 (Steven Heller:米国ニューヨークに住むアートディレクター。デザイン教育、タイポグラフィ教育に関する本など多数の著作あり。ナチスのシンボルについて分析した 『The Swastika』も彼の最近の著書) 「フツラは決して、決して、決してナチスの書体ではないと断定する。ナチスよりも前につくられ、他のモダニズム同様ナチスによって拒絶された書体なのです。」 クリストファー・バーク氏 (Christopher Burke:英国の書体デザイナー、研究家。Futura 書体をつくったパウル・レナーの生涯をまとめた 『Paul Renner』 の著者) 「びっくりしました。ナチス書体というものがあるとすれば、その正反対に位置するのが Futura です。Renner は頑固な反ナチで、Futura の設計をはじめたのはナチスが勢力を拡大するずっと前だから、ナチスの書体だというのはおかしい。Renner は当時書いた本のなかでナチの文化政策や事実無根のユダヤ人弾圧を批判しています。もしナチと関係のある書体があるとすれば、それはプロパガンダに頻繁に使われたブラックレター書体だと思いますが、その書体デザイナーもナチ党員ではありませんでした。書体に政治的意味合いが付随することはあり得ません。ブラックレター書体でさえも、第三帝国以前のドイツや他の国で長い歴史を持っていることを考えるとナチの書体とは言えないのです。これを雑誌に書くときに、私の著書を引き合いに出してください。お願いです。数年前から事実が提示されているにもかかわらず、そのような発想が出てくることは痛切の極みです。まだ私の著書を読んでくれる人の数が充分でないのでしょうか。」 ヤン・ミデンドープ氏 (Jan Middendorp:オランダ生まれ、現在ドイツに住む。 タイポグラフィ関係の著作 多し) 「幾何学的サンセリフ体がファシストの書体って、そりゃおかしな話だ。例えば、赤と黒の組み合わせはナチスの色だと言ったり、ある山がナチス崇拝のさいに使われたから、それはナチスの風景だと言ったりするみたいなことだよね。ナチスが Futura をそんなにたくさん使ったとも思わない。使ったとしたらブラックレターのほうだろう。それもその後で『ユダヤの書体』ってことにされちゃってナチスは DIN みたいなのを使った。 『フォルクスワーゲンはナチの車だ』と言うほうがまだ筋が通っているかもしれないけど、それだって人騒がせ目当ての子供っぽい理屈にすぎないよ。」 ヤネック・ヨンテフ氏 (Yanek Iontef:ATypI 国際タイポグラフィ協会イスラエル代表) 「そんなナンセンスな話は初めて聞きました。Futura はどちらかというとナチスの反対のイメージで、30年代のイスラエルでもよく使われて、Futura と合わせるためのヘブライ語書体 Aharony が1934年につくられたほどの人気でした。まったく滑稽な話です。ここイスラエルでは Futura は今も人気の書体です。普通のイスラエル人は Futura と他のサンセリフとを見分けられないし、私個人は Futura をナチスの文字とは思いません。」 彼はまた、 イスラエルの街角や雑誌などで見かけた Futura の写真 も送ってくれています。 Futura はナチスの勢力拡大の前から広く使われていた書体ですから、30年代にドイツ中の印刷屋から Futura が消えたわけではありません。ナチスが Futura を用いたことがないとは言えませんし、それを嫌悪する人がいないと断定はできませんが、欧米やイスラエルのプロフェッショナルの持つイメージはナチスと正反対のようです。
by kokofutura
| 2009-01-18 05:38
| タイポグラフィ界著名人の意見
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Comments(2)
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by
shomoto
at 2009-02-19 12:03
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昨日、DNP(大阪)で開催されたギャラリートークを拝聴していたものです。あこがれの“生”小林さんのお姿をみることができて、忘れられない夜になりました。私は38歳のパッケージをメインにしているデザイナーですが、この業界に入りたての23歳の頃、やはりFuturaはドイツ、Helveticaはスイス、Bodoniはイタリアのイメージがあるから使い方を間違えないようにと教わりました。しかし、今の日本市場ではその辺りあまり神経質ではないように思います。私も1年程前、若い女性向けのヘッドホンのパッケージで商品ロゴをFuturaとAvenirを基に制作しました。Futuraは洗練されたポップさみたいな所が大好きな書体です。私にとって肝心なのは、その商品を手に取ってお客さんがどういうイメージを受けるのか。もし、ナチスのイメージを伝えてしまっているのなら問題ですが、そのヘッドホンが店頭に並んでいるのを見て、デザイナーの卵(女の子)が「カワイイ♥」と言っていたので、私としてはそれでいいのではと思っています。
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by
typedirector at 2009-03-06 18:08
shomoto さん、ギャラリートークに来てくれてありがとうございます。「ここにも Futura 」でお分かりの通り、Futuraはドイツでもナチスでもありません。さらに「Helveticaはスイス、Bodoniはイタリアのイメージがあるから使い方を間違えないように」なんてとんでもない。Helvetica も Bodoni も世界中で使われる書体です。だから「今の日本市場ではその辺りあまり神経質ではない」のは大変良いことで、それまで変な噂に惑わされていたのが、そろそろ海外とのギャップがなくなってきているんです。
日本の皆さん、落語を聴きましょう。落語を聴くと、通ぶって偉そうなことを言う半可通が失敗する話がよく出てきます。そういう「偽の通人」を笑い飛ばすくらいの余裕があれば、こんな変な噂は広まらなかったでしょうね。
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